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企業・団体の地震対策ガイド<地震対策は危機管理>


阪神・淡路大震災 10の『教訓と誤解』




平成7年(1995年)1月17日、午前5時46分頃、兵庫県南部を震源とするマグニチュード7.2の地震が発生し、阪神地方を中心に非常に広い範囲で大きな揺れを感じました。

 この地震により、6千名を超える人命が失われ、住宅、ビル、港湾施設、鉄道、道路、水道、電話、ガス、電力などに大きな被害が生じました。都市機能や社会経済活動のすべての局面が影響を受けたといってよいでしょう。

 この阪神・淡路大震災から私たちは多くの教訓を学び、国・自治体はもちろん、多くの企業・団体でも地震対策を再検討することになりました。

 ここに阪神・淡路大震災が残した企業・団体の地震対策に関する教訓を10の「教訓と誤解」としてまとめてみました。




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教訓1 大地震は企業にとって「危機」となった



 大震災によって、多くの企業で施設、設備の破損や社員の被災等、企業活動そのものにかかわる大きな被害が発生しました。

 また、その被害は、被災地だけにとどまらず、日本経済全般に大きな影響を及ぼしました。

 従来、大地震が企業経営にこのような大きな影響を与えるものとはあまり認識されていませんでした。しかし、阪神・淡路大震災を契機に、大地震は企業経営に大きな影響を与える災害、すなわち企業の“危機”と考えられるようになったといってよいでしょう。その結果、地震対策に、危機管理として重要な対策である事業継続・早期復旧対策と企業全体の地震対策が新たに加わりました。

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教訓2 ‘初動対応’マニュアルが必要



 阪神地方の事業所では、消防計画に火災と風水害についての対応策を決めてあるのが一般的でした。地震対策マニュアルをもっている事業所はあまり見当たりませんでした。このために阪神・淡路大震災では特に地震発生直後の混乱の中、少ない社員で何をすべきかがなかなか思い浮かばず、非常に効率の悪い対応をした企業が見られました。

 マニュアルなどなくてもそれなりに対応できる、マニュアルがあるとかえって自分達の臨機応変な行動を縛ってしまうから不要である、という考え方があります。しかし、多くの企業に共通的する声は、「‘初動対応’マニュアルは必要だ」というものです。大規模地震が発生した直後には、行うべき事項を規定した手順書が必要だというものです。項目だけでも決めてあると行動の指針となり、初動対応が違ったものになるでしょう。

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教訓3 平常時の組織は機能しない



 阪神・淡路大震災は早朝に発生しました。勤務時間外であり、交通機関も寸断されており、社員を非常招集しようとしても極めて難しい状況でした。地震の被害を直接受けた神戸などに本社もしくは生産拠点があった企業では、出社できた社員が思いつくまま自分の職場の被害の確認、整理等を行い、結局、組織だった活動ができなかったところが多かったようです。

 このように阪神・淡路大震災では、初動対応において平常時の組織が機能しなかった企業が多く、非常時の組織のあり方、権限委譲、本社が被災した際の対応が今後の課題となりました。

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教訓4 社員や事業所間の連絡が取れなかった



 阪神・淡路大震災の際、完璧に使えた通信設備はありませんでした。比較的使用できたと言われる専用回線や携帯電話も、まったく支障がなかったわけではありません。電話回線の断線や輻輳(ふくそう)により、安否確認などの緊急時対応に不可欠な情報連絡や業務上の連絡等に大きな影響がでました。会社側から何度も電話をかけて連絡をとろうとしたところが多かったようですが、混乱のなかで大変な労力と時間を要し、対応が遅れた例が見られました。

 通信連絡手段の見直しという設備上の対策と安否確認体制の整備などの管理上の対策の双方が求められています。

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教訓5 交通機関は途絶する



 阪神高速道路をはじめとする道路交通、JR等の鉄道、神戸港を拠点とする海上交通のいずれもがマヒしてしまいました。その結果、社員の出社が困難となって活動要員の確保に時間がかかりました。また、救援活動に支障があったばかりでなく、物流が遅延し、企業の生産や販売に影響を及ぼしました。

 通勤圏域が広い東京では、夜間・休日など企業の勤務時間外に大地震が発生した場合には、活動要員の確保が難しく、また、勤務時間中の場合は、多くの帰宅できない社員がでることが予想されます。交通機関が途絶することを想定して、地震対策を検討する必要があります。

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教訓6 地域や他企業との連携・協力が必要



 阪神・淡路大震災では、神戸新聞社と京都新聞社が事前に「災害時相互援助協定」を締結していたため、被災した神戸新聞社が震災当日の夕刊から新聞発行を継続できたことが話題になりました。

 このことに触発され、新聞社をはじめとしてさまざまな業種で災害時相互援助協定やそれに類似の協定が締結され、新しい地震対策として注目を集めました。また、相互援助協定という大げさなことをいわないまでも、被災時に協力してくれる企業を選別していくことが考えられています。

 一方、夜間・未明に大地震が起きたときには、火災の延焼、沿岸部では津波の地下部への流入、危険物等の漏出・流出、盗難などの二次災害や事故が心配されます。そんなとき、区内の多くの事業所では非常参集が難しく、二次災害への対応について地元区民の方々に迷惑をかけることになります。日頃から、災害時の相互協力関係を築き上げておくことにより、万一の際の連携がうまくいくと思われます。

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教訓7 ビルは倒れてはならない



 阪神・淡路大震災では、建物の全半壊が20万棟を超え、その下敷きになって多数の人命が失われました。また、家具等の下敷きによる死亡者も多数見られ、建物や設備等の耐震対策の重要性を再認識させられました。もし、地震が企業の活動している昼間に発生していたらどうだったでしょうか。ビルの倒壊やビル内の設備・機器類、オフィス家具などの飛来、転倒などにより相当の死傷者が発生したと思われます。


 このようにビルが倒れることは、そこに働く社員や近隣住民の生命を脅かすことにつながります。企業資産の被害を減らすことはもちろんですが、人命を守るためにビルは倒れてはならないのです。それを防止するために建物の耐震改修が極めて重要な意味を持つのです。同様に、オフィス家具など什器・備品の耐震対策も人命を守るために実施すべき重要な対策なのです。


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誤解1 誰かが助けてくれる?



 阪神・淡路大震災では、消防署に救急車の出動要請が数多くありましたが、大規模で同時多発的な災害であったため有効に対応しきれませんでした。東京でも、例え電話がつながっても、救急車が行けないことが予想されます。もし、企業の活動している昼間の時間帯に大地震が発生した場合、建物の倒壊やオフィス家具の転倒などによる負傷者が多数でることも考えられます。最悪の場合には、死者がでることも想定して、救出作業や重傷者への対応などを検討するとともに、必要な資機材の確保や訓練をしておく必要があります。


 また、初期消火や人命救助、応急救護などは、地域やテナント同士が助け合って行うことが重要です。地域の一員として、日頃から連携をとることが大切です。

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誤解2 緊急物資は手に入る?



 平成16年9月に千代田区が4,000社を対象に実施した「事業所防災アンケート」では、食料をあらかじめ備蓄している事業所は、全体の1/3、その量も平均2.2食であることがわかりました。災害発生後、すぐに必要な物資が確保できるとは限りません。

 千代田区ではビスケットなどの食料品をはじめとした各種物資を備蓄していますが、企業が緊急物資を区に依存していたのでは当然不足します。従業員が帰宅したり、事業継続や速やかな復旧活動を行うのに必要な物資は、企業自ら備えておく必要があります。

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誤解3 地震対策には経費がかかる?



 企業の危機管理を積極的にやらない言い訳の第1位は、「経費がかかる」というものです。地震対策は自社の実情に応じて、継続的、計画的に行っていく必要があります。地震災害から企業と社員、地域を守るためにも事前の対策を行っていなければなりません。

 確かに、施設、設備の耐震改修などについては、多額の経費がかかることがあります。しかし、緊急時対応組織や連絡体制の整備、緊急物資の確保などについてはけっして多くの経費を必要とするものではありません。企業としての社会的責任と信用を得るためにも、地震対策経費は必要な経費ではないでしょうか。

問い合わせ先

千代田区環境安全部防災課
  〒102-8688 東京都千代田区九段南1-2-1 
  電話 03-5211-4187
  FAX 03-3264-1673
  メール bousai@city.chiyoda.lg.jp

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